立ち上がり期

ITコンサルタントのフェルミ推定活用術—フェルミ推定を活用して論点に答える

はじめに

考えるエンジン講座の受講生に、著書 “フェルミ推定の技術” について「仕事で役立った」「コンサル業務で役立った」そんなエピソードを聞かせてください。

とお願いしたところ、ITコンサルタントとしてご活躍の方にフェルミ推定を実務でどのようにご活用されているのか事例をお聞かせいただきましたのでご紹介します。


ITコンサルタントに役立つフェルミ推定

私は現在、ITコンサルタントとして従事している者です。

“フェルミ推定の技術” を読んで、仕事での頭の使い方が読む前に比べ見違えるほど変わりました。

どこが役立ったか?と言いますと、主に次の3点が役立ったと感じました。

  1. 因数分解は2つ以上作る/リアリティチェック
  2. 議論の事前準備
  3. 構造を示す話し方

順に説明いたします。

1. 因数分解は2つ以上作る/リアリティチェック

“フェルミ推定の技術” での学びは基幹システムの大規模マイグレーションプロジェクトでの工数見積もりで大変役立ちました。

システム利用者からの問い合わせ業務/設計書作成/新アプリケーションへの設定作業/本番リリース作業/運用業務…etc と多岐にわたるタスクがある中で、

  • このプロジェクトはいつ終るのか?
  • 体制として何人いれば期日に間に合うのか?

の論点に答える必要がありました。 それぞれの論点に対して、

〇 このプロジェクトはいつ終るのか?
⇒自チームで管理している管理表を元にした因数分解
〇 体制として何人いれば期日に間に合うのか?
⇒ 今後のプロジェクト方針を踏まえた論理値をもとにした因数分解

を行いクライアントと議論しました。

リアリティチェックとしてプロジェクト全体での管理ツールから進捗実績を抜き出し、因数分解の精度を確認しました。
「重要性の法則」で枝葉を切り捨てること、「数字を丸める」で細かい数値の値は丸め大局で見ることなども工数見積もりの際に大変勉強になりました。
“フェルミ推定の技術” を読まずに当プロジェクトを迎えていたことを考えるとゾッとします。 それくらい実務に役立ちました。

2. 議論の事前準備

1.でお話しした工数見積もりと関連しますが、

  • 作業の中でどこに一番工数がかかっているか?
  • 効率化可能な作業はどこか?

をクライアントと議論する必要がありました。
ですので、その2つの論点を議論しやすい形で因数分解を行いました。

議論すべきポイントを明確にした状態で議論に臨んだため、会議自体のまとまりがよく課題も明確になり、次のアクションとして何をすべきかが足早に決まりました。
“フェルミ推定の技術” を読んで「次の議論との整合性」を学んでいたからこそ、会議前の準備で方向性を誤ることなく議論ポイントをまとめらました。

3. 構造を示す話し方

先日、会社の上司と久しぶりにランチに行く機会がありました。
その際に

https://www.kanataw-consultant.com/wp-content/themes/cure_tcd082/img/common/no_avatar.png

入社当時に比べて自分のことを上手く話せるようになったね。何かあった?

と言われました。

この言葉を受けた際に、「これは完全にフェルミ推定の技術を読んで話し方を学んだおかげだな」と思いました。
本書で構造を示す話し方を学び、日々仕事でも意識してお話するようにしていたので、それが身についたのかなと感じました。

話下手、説明下手な自分が上司からお褒めの言葉をいただけるとは思っていませんでした。

さいごに

正直、 “フェルミ推定の技術” を読んでフェルミ推定を習得することがこんなに実務で活きるとは思っていませんでした。
自分はITコンサルタントなので、一見 “フェルミ推定の技術” を活用する場面が少ないように最初は感じたのですが、学んだ考えを実務で実践できる場面は本当にたくさんあるんだなと思いました。 まだまだ暗記できていない部分があるので、復習してより業務に役立てていきたいと思います。


フェルミ推定の技術

フェルミ推定の技術

著者:高松 智史
出版社 : ソシム
発売日 : 2021/8/18
単行本(ソフトカバー) : 304ページ

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