立ち上がり期

コンサルティングの現場で得た気づきと学び

戦略コンサルティングファームの現場から 

とあるコンサルタントの気づきと学び

仲良しの生徒であり、弟子である生徒とキャリア相談をと、いつものように、表参道でアボカドトーストを食べたときに、なんの気なしに、

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ねぇ、今のファームでの学びを教えてよ

ってお願いしたら、次のコンサル転職のオファーくらい、さっくり、「学び」のまとめというか、コンサルな皆さんへの「エール」を教えてくれました。
そして、読むと、彼の「あと10年、コンサルやり、極めるぞ!」という、決意を感じました。ということで、原文、そのまま。お楽しみください。

そして、ありがとう!


コンサルティングの現場で得た気づきと学び

コンサルティングの道を歩み始めた方、志している方へ

私は、事業会社を5年ほど経験した後、高松さんの門をたたき、戦略コンサルティングファームに転職しました。
コンサルタントとして “立ち上がる” までの間、数々の壁にぶつかり、思い悩みました。
そんな悶々とした日々の中で、救いとなったのは、「考えるエンジン講座」で得た学びと、高松さんとの直接のやり取りでした。
それらを武器に、答えのない「戦略ケース」と向き合い、格闘する中で、少しずつ書き留めていたノートがあります。
以下は、そのノートに書き留めた言葉を振り返り、コンサルティングの現場で得た気づきと学びを、綴ったものです。 コンサルティングの道を歩み始めた方、あるいは志している方に、何か少しでもヒントになれば、と思います。

お伝えしたいことは、大きく5つ

① 「論点」第一主義
② 全体観をもつ
③ 言葉にこだわる
④ PDCAを “勝手に” 回す
⑤ 仲間との切磋琢磨

①「論点」第一主義

思い起こせば事業会社での私の働き方は、タスクベース、“タスクバカ”、でした。いかに「作業」に落として、スピーディにこなしていくか。お恥ずかしながら、そんなことばかり、考えていました。
一方で、コンサルティングの仕事は、答えのない世界です。クライアントの抱える悩み、答えなき問い、だけが、そこにあります。ましてや解き方など、誰も教えてくれません。
私自身、様々な「戦略ケース」を経験する中で、広大な砂漠に一人さまようかの様な孤独感、時には絶望感すら味わうこともありました。
そんな、「何をすればいいのか分からない」、暗中模索の状態から、一筋の光を導くのが、高松さんの教える、「論点」なのだと思います。
「論点」を自分で立てて、コントロールできるようになるにつれて、「答えのない世界」に向き合うことが怖くなくなり、コンサルティングの仕事が面白くなってきます。
ペンと紙、Wordを武器に、「論点」を立て、格闘し、愉しみましょう。 高松さんも口酸っぱく言っていますが、間違っても、最初からパワーポイントを開いてはいけません。スライドライティングは、あくまでも最後の仕上げ。最初からスライドに逃げたら、その時点で「負け」だと思います。

ノートに書き留めていた言葉
  • クライアントの悩み・お題に対し、論点の構造を自分の頭で考える 相手の悩みは、常にクリアとは限らない。解くべき問いは何かを、自分自身でクリアにする
  • 何も見ずに、頭の中身をすべて出すつもりで、論点を書き切る
  • 重複してもいいので、書き切る。手を動かす。手が動かなければ方法を変える
  • ポジションが曖昧だと議論にならない。ファクトに対し必ず解釈のポジションを取る

② 全体観をもつ

戦略コンサルティングファームに転職して、一番初めに衝撃を受けたのは、パートナー陣が繰り広げる、極めてハイレベルな議論でした。議論の抽象度が高く、かつ高速なので、最初は「何を話しているのか、さっぱり分からない」状態でした。
プロジェクトの経験を積み重ねるにつれて、気づいたのは、常に「全体観」を持つことの重要性です。
上述の「論点」のところとも重なりますが、クライアントとのミーティングにおいて、何を議論するのか。その枠組みを、一歩引いた視点から、メタに考えることが重要だと思います。
プロジェクトを進める中で、目の前にある各論から考えたい(≒“楽”をしたい)バイアスを、意図的に断ち切る必要があります。そうして「全体観」をもって考えることで、何を議論すべきかをリードできるようになり、ひいてはクライアントに届けられる価値もどんどん大きくなっていくと思います。

ノートに書き留めていた言葉
  • 常に、最後のアウトプットをどうするかをイメージして動く
  • 一歩引いた目線から、全体の構造の中で、それぞれのカタマリが何を言いたいのか?を考える
  • カタマリ毎に、アクセント/抑揚をつける。何が言いたいのか、どういう流れなのか、一発で伝わるようにする
  • 早い段階からクライアントの考えを引き出し、進化させる
  • 最低でも、次回~次々回の議論の流れは、必ず具体的にイメージしておく

③ 言葉にこだわる

コンサルティングファームに転職して、個人的に最も大きな学びは、言葉一つひとつに対する、感度とこだわりです。
入社間もない頃、睡眠時間を削りながら必死に書いたサマリーを、パートナーに全て削除され、書き直された時は、心が折れそうになりました。
不明瞭な言葉では、伝えたいことが正しく伝わらず、何の価値も無いということです。
コンサルティングの現場では、クライアントに伝えたいメッセージを、いかに短い言葉で、クリアに言い切るか、の勝負だと思います。言語化することが難しい抽象的な概念を、端的な言葉で言い切ることは、コンサルタントとして求められる重要な価値の一つだと思います。
ややテクニック論にはなりますが、「AではなくB」といった構文を、過去の成果物から自分の中にストックしておき、言葉/思考を整えることは、有効だと思います。 書き言葉が整うと、話し言葉も整います。クライアントとの議論の価値を最大化するためにも、先ずは書き言葉としての日本語を、徹底的に見直す習慣をつけることが重要だと思います。

ノートに書き留めていた言葉
  • 日本語の書き言葉を正しくする。書き言葉が整うと、話し言葉も整う
  • 主述関係を明確にする。語尾を曖昧にせず、言い切る。接続詞を意識して使う
  • 不明瞭な言葉では、クライアントにメッセージが正しく伝わらず、全てが徒労に終わる
  • 他にもっと良い表現がないか、吟味する。“文字数あたりの効果”を最大化する
  • メッセージをテキストでクリアにできれば、図としてもシンプルに表現できる

④ PDCAを “勝手に” 回す

多かれ少なかれ、会社が用意してくれる研修や教材はありますが、それですぐ仕事ができるようになるほど、甘くないのが、コンサルティングの世界だと思います。
基本的にみんな忙しいので、誰も手取り足取り教えてくれません。日々の気づきを起点に、フィードバックを自ら取りに行き、改善アクションを起こさない限り、成長はありません。
「今の倍以上のスピードで、自分でPDCAを回さないと、この世界では厳しいよ」
入社して間もなく、そう声を掛けてくれたパートナーに、感謝しています。 有限な時間を、いかに意識的に、能動的に過ごすか。答えのない世界で戦っていくために、自分自身のPDCAを、“勝手に”回し続けていく必要があると思います。

ノートに書き留めていた言葉
  • 自分から動き、PDCAを高速に回す
  • 時間を意識的に過ごす。集中できていない、ストレスがかかっている、と気づいたら、能動的に切り替える
  • 小さなことであっても、構造化、優先順位付けを心がける
  • 素朴な疑問や違和感を大切に、必ず何か発言する
  • 手直しされているようでは、いつまで経っても一人前にはなれない

⑤ 仲間との切磋琢磨

忙しくて大変な時、精神的な支柱となるのは、一緒に戦う仲間の存在だと思います。
議論をぶつけ合うことで生まれる、熱気とアウトプット。答えのない問いに、様々な角度からアプローチしていく面白さ。それが、この仕事の一つの醍醐味かと思います。
他愛もない雑談や、ケースの枠を超えた知的好奇心ベースでのディスカッションは、ハードな状況の中、何度も自分を救ってくれた気がします。
リモートワークが浸透する中、かつてのように熱気を帯びた連帯感をつくっていくのは、難しいことかもしれません。でも、だからこそ、今まで以上に、仲間の存在を意識して、過ごすことが大切だと思います。

考えるエンジン講座の素晴らしいところは、そういった仲間を、自分が所属しているファームの中は勿論のこと、ファームの枠を超えて、拡げていけることだと思います。

まとめ

考えるエンジン講座受講生がコンサルタントの現状を赤裸々に語ってくれました。コンサルタントとしての「学び」のまとめというか、試行錯誤しながら戦っているコンサルな皆さんへの「エール」になると思います。
彼が「戦略ケース」と向き合い、格闘する中で、少しずつ書き留めていたノートに蓄積された言葉は生の真実のコンサルティングの現場で得たものです。
この戦いの証がジュニアコンサル/アソシエイトとしてコンサルティングの道を歩み始めた方、これからコンサルタントとしての道に進もうと思っている方の道標になることを祈っています。


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