ジュニアコンサル・アソシエイトの議事録の正しい作り方
—上司に “議事録” を頼まれたら
ジュニアコンサル・アソシエイトに捧げる議事録作成の心得
議事録作成を面倒だと思ってしまったらもったいないです。
ジュニアコンサル・アソシエイトのうちは、社内ミーティング、クライアントミーティング等の際に議事録を頼まれる機会が多いと思います。
議事録の作成は、新しいものを生み出すことではないので、「ちょっと、面倒だな。」と思う方もいるかもしれませんが、実はとんでもなく奥が深く、あなたを成長させ、昇進のトリガーにもなり得るものなのです。
そこをしっかり心得ていただいた上で、ここでは、自身の成長と昇進のトリガーへと導く、知っておきたい議事録作成のメリット・作り方・やってはいけないことをそれぞれ3つずつご紹介します。
議事録作成のメリット3つ
議事録の作成が面倒だと思っている方は、議事録作成の3つのメリットを知って「お!いいことあるじゃんっ!」とモチベーションを上げて作成に取りかかりましょう。
議事録作成のメリット(1)
–ミーティングでの議論ポイント、決定事項、ネクストステップを把握できる
新人でコンサルファームに入社したジュニアコンサル・アソシエイトにはありがちですが、ミーティングに参加しても論点がわからず、みんなは何を議論していて、何が決まり、次に何をすべきか迷子になってしまう人がいます。
でも、自分自身で議事録を書けば一気に論点を把握することができます。もしそこまで書けない場合、あなたが書いた議事録をベースに上司がアドバイスしてくれることもあるでしょう。
上司は、作成してくれた議事録を確認することで、部下がどこまで理解できていて、何がわかっていないのかがすぐわかり、アドバイスする側にとってもありがたいものなのです。
議事録作成のメリット(2)
-上司に自分をアピールできる
どんなに優秀な人であっても、自分がどれくらい現状と課題を理解しているか頭の中を見せることはできません。
でも、素晴らしい議事録を作成して上司に見てもらえれば、一発で「こいつ分かってるな」と思ってもらうことができます。
「そんな立派な議事録を書ける自信がないです・・・。」なんて自信が持てていない方でも心配しなくて大丈夫です。
議事録をサッと書いて渡すことで、あなたの “やる気” は伝わります。
無能を有能に見せることはできないですし、する必要はないですが、仕事に対する「熱意」はアピールすることができるのです。
こちらは2019年にエン転職が実施した「上司に聞いた “どのような点で困った部下だと感じましたか?”」のアンケートです。
上司に聞いた “どのような点で困った部下だと感じましたか?”
出所:https://corp.en-japan.com/newsrelease/2019/17710.html
【調査概要】
■ 調査方法:インターネットによるアンケート
■ 調査期間:2019年4月24日 ~ 5月28日
■ 調査対象:『エン転職』( https://employment.en-japan.com/ )を利用する20代以上のユーザー
■ 有効回答数:11,286名
アンケート結果にある「報告・連絡・相談を怠る」「上司からの指示待ち」「仕事に意欲がない」なんて項目は、サッと渡す議事録によって “困った部下” の条件を回避できる道が拓けるのではないかと思います。
議事録作成のメリット(3)
-スタンスを自分がもって行きたい方向に寄せられる
これはちょっと高度な技ではありますが、議論の中でなんとなく中途半端なまま終わる論点があります。それをこれから自分が持っていきたい方向に少し寄せて議事録を書き上げることができるのは、最初に議事録を書いた人の特権です。
ジュニアコンサル・アソシエイトに伝えたい議事録作成の3ステップ
議事録はどのような手順で作成していけばいいのか?を具体的に3つのステップでご紹介します。
議事録作成:ステップ1
-ミーティングでの議論内容、「要はなんだったのか」を3つ(多くて5つ)を書く。
まず、この3行を読めば、不参加者も議論内容を把握できる、という、そんな内容を書きだします。
ここでは、話の順番とかは気にしなくても大丈夫です。
イメージは上司とタクシーに同乗しているときに「今日のそっちのミーティングの内容は何だった?」と聞かれて30秒程度で答える濃さです。
例えば、とある病院での議論内容を聞かれた場合はこんな感じでしょう。
- N95マスクなど医療資源を標準の使い方で使い捨てているため、将来不足していくことが懸念される
- 救急搬送された患者にコロナに特徴的な症状があるという事前情報がない場合、感染対策をせずに治療にあたってしまっている
- コロナ関連の議論は日々更新されるため会議で話し合われて決まった内容が周知されていない
議事録作成:ステップ2
-ステップ1で書いた議論内容を掘り下げた内容を書く。
ステップ1で書いた30秒程度で説明できる議論内容を、更に掘り下げて作成していきます。
この時、段落を一つ下げて詳細情報を書いていってください。
例:とある病院での会議
- N95マスクなど医療資源を標準の使い方で使い捨てているため、将来不足していくことが懸念される
- 現在の運用では、咽頭ぬぐい液を取るたびにN95マスクを捨てている
- 欧米では3日間同じマスクを使用している国もあるらしく、長期間使用のプロトコルはありそう
- 現在は使った分の医療資源を補充するという運用のため使用量を減らしても意味はないかもしれない
- 救急搬送された患者にコロナに特徴的な症状があるという事前情報がない場合、感染対策をせずに治療にあたってしまっている
- 発熱のある患者の隔離の運用はスムーズに行えている
- 気管挿管は特に感染リスクの高い医療行為だが、ゴーグルが救急外来に置かれていない
- コロナ関連の議論は日々更新されるため会議で話し合われて決まった内容が周知されていない
- 本会議で話し合われた課題が、そのあとどう対策を取ることになったのか不明なままである
- 決まった内容が院内の電子掲示板に掲示されてはいるが、コロナに関連しない事務連絡も掲示されるため、埋もれていく
- コロナ関連記事をまとめたフォルダーもあるが、それは政府発表の記事のみ
いかがですか?ここまでくれば、あと一歩。だいぶ議事録らしくなってきました。
議事録作成:ステップ3
-最後に「ネクストステップ」を書く。
これは一番書きやすいのではないでしょうか?
ちなみにネクストステップは必ずしもステップ2までに書いた議論内容と一対一で対応している必要はありません。
例:とある病院での会議-ネクストステップ
- 救急外来では患者診療にあたるときはwalk in、救急搬送に限らずゴーグル、マスク、手袋、エプロンを装着する
- 救急外来、発熱外来で使われる医療資源は一日同じものを使い、汚染された場合は原則として医療用アルコールで拭く
- 本会議で課題としてあげられた内容は、毎週行われているコロナ対策会議にて提起する
- 今後会議で決まった内容は院内掲示板に掲示するだけでなく、コロナ関連フォルダーにて政府発表のものと院内決定事項を分けて保存する
- 全職員、コロナ関連フォルダーを1日1回は目を通すよう周知する
これに加えて、日時や参加者といった情報は必要に応じて追記してください。
議事録作成でやってはいけないこと3つ
ここまでで、議事録作成のメリット・具体的な作成ステップについてご紹介しました。面倒な議事録作成もメリットを知り「モチベーションを上げて明日からスムーズに議事録書けるかも?」と議事録に対する苦手意識を少し払拭できたのではないでしょうか?
議事録作成が少し身近なものになったところで、最後に「やってはいけないこと」を3つご紹介します。
議事録作成でやってはいけないこと(1)
-ダイアログ形式の議論の順番に沿った議事録を作成してしまう
ダイアログとは会話式の記録のことです。未熟なうちはやってしまいがちですが、ダイアログ形式の議事録は全く頭を使わないただの “作業” でしかない上に、「で?結局何を議論して何が決まったの?」という質問に全く答えられていない議事録になってしまいます。
また、ダイアログ形式でなくても、議論した際の会話の順番を気にしすぎて変な文章になってしまう人もいます。議論に参加していた人はどうしても会話の流れを重視しがちですが、そこはいったんバッサリ切り捨て、この会議で何が議論され、何が決まったか、を端的に書いていくことを意識してください。
議事録作成でやってはいけないこと(2)
-完成した議事録を見直さずに提出してしまう
一度書ききった後に見直してみると、日本語がおかしかったり、書かれている内容のレベル感が一致していなかったり(大きな話と小さな話が同列に扱われている)、誤字脱字があったりします。
こういうことは絶対あると思ったほうがいいのです。今まで一回もミスをしたことがない人がいないことと同じで絶対にどこかに1か所以上は不明瞭な点やケアレスミスは存在します。
一番多いミスは、会話の流れを重視しすぎて、書かれた文章だけ読んでも何を言っているのか意味不明な仕上がりになってしまうこと。そういう時は、大胆にバッサリ話の構造を変えて書き換えましょう。肝心なのは「どういう話だったのか伝えること」です。
議事録作成でやってはいけないこと(3)
-24時間以内に議事録を作成できない
議事録は鮮度が命です。
ミーティングが終わったら2時間以内に書き上げてミーティング参加者に連携しましょう。ミーティングに参加していないパートナーにしてみれば、すぐに議論内容を知りたいものです。
24時間以上経ってしまっては、記憶もあいまいになってしまいます。
まとめ
議事録作成を面倒だと思ってしまったらもったいないです。
特にジュニアコンサル・アソシエイトのうちは、社内ミーティング、クライアントミーティング等の際に議事録を頼まれなくてもご自身で取り組んでみると成長機会を得ることができます。
今回ご紹介した、メリット・作り方・やってはいけないことを踏まえて「ちょっと、面倒だな。」と思っても議事録作成から自身の成長と昇進のトリガーを掴んでいただければと思います。
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ここまでできるようになったら、次はもう少し前進して、議事録を進化させることにもチャレンジしてみてください。
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